「モータースポーツの最高峰」を攻略すべく準備を進めるポルシェ、アウディ、日産。ポルシェは、コースで2度死にかけたF1のベテラン、マーク･ウェバーに望みを託す。現チャンピオンのアウディがリードドライバーに据えたのは、3度の優勝経験から自信満々のアンドレ･ロッテラー。新参者の日産は、ゲーマーからレーシングドライバーに転身した23歳のヤン･マーデンボローに期待をかける。

日産が大会を軽んじるような発言を振りまく一方、アウディとポルシェが予選でポールポジション争いを繰り広げる。日産の元ゲーマー、ヤン･マーデンボローは新たに得た名声に満足げだが、実は数ヶ月前に起きた事故で観客1人が死亡、家族にも影を落としたその記憶と戦っている。いよいよドライバーたちがシートに座るが、ウォームアップラップがスタートしたそばから、1台の車がガレージに引き返していく。

ポルシェとアウディが首位を巡って熾烈な争いを始める一方で、ヤン･マーデンボローの日産23号車のクルーはなんとかしてガレージから車を出そうとする。プライベーターのレベリオンは先頭を走るアウディとポルシェに引けを取らない見事な走りを見せるが、開始わずか1時間で1台のGTカーが炎上したことからクラッシュへ。レベリオンのル･マンは始まる前に終わってしまうのか。

これまで100人以上の命を奪ってきた世界有数の危険なカーレースを闇が覆う。犠牲者の中には、アストンマーティンのダレン･ターナーのチームメイト、アラン･シモンセンの名も刻まれている。ターナーはその闇と闘いながら、生まれたばかりの子どもに思いを馳せる。やがてアウディ8号車が激しくクラッシュ、ポルシェが優勢に。しかしポルシェのスタードライバーであるマーク･ウェバーに悪い知らせがもたらされる。

マーク･ウェバーは仲間のペナルティでピットストップを強いられる。かつてひとりで戦っていたF1王者にとって、チーム精神を試される厳しい試練だ。ポルシェは、ル･マンのルーキー、アール･バンバー、ニック･タンディ、ニコ･ヒュルケンベルグが運転する19号車に望みを託す一方で、レベリオンは消耗と電気系統のトラブルで苦戦。それでもドライバーのニコラ･プロストは父であるアラン･プロストの伝説に恥じぬよう戦う。

マシン後部の破損に見舞われたアンドレ･ロッテラーは大胆な走りを見せ、レース最速ラップをたたき出す。そんなロッテラーの前方では、F1レジェンドのマーク･ウェバーとルーキーのアール･バンバーというポルシェ勢同士がしのぎを削る。一方、順位を大きく下げ、ル･マン優勝の夢破れた日産のヤン･マーデンボローは、ただ完走することだけを目指す。